エインズレイ(Aynsley)
エインズレイ(Aynsley)の歴史とボーンチャイナについて
英国において高品質なボーンチャイナで有名なエインズレイは、1775年にジョン・エインズレイによってスタッフォードシャー州ロングトンのレインエンド(Lane End)に創立された高級ボーンチャイナ、テーブルウェア、記念品などの英国の陶磁器メーカーです。
240年以上の驚くほどの長い期間、高品質の高級陶磁器を供給し、熟練した職人技と絶妙なデザインをもつ美しい陶磁器製品で英国をはじめ世界中で評価されています。
会社名は彼の名前から名付けられています。
もともとは英国の陶器の街ストーク・オン・トレントの炭鉱経営者でしたが自ら陶磁器の生産に乗り出します。
エインズレイ創立者はジョン・エインズリーですが、息子のジェームズ・エインズレイ、そしてその後を引き継いだジェームズの息子はジョン・エインズレイ2世となり会社経営に貢献し国内外で高い評価を得るようになります。
ポートランド工場
出典:https://www.thepotteries.org
ストーク・オン・トレント(Stoke-on-Trent、通称The Potteries)。
17世紀から陶器産業が盛んな「陶器の街」として産業革命とともに発展していきました。
陶器を作るのに適した粘土、石炭が豊富に産出されたことがその理由です。
ジョン・エインズレイ2世は、初代のように情熱をもち陶磁器作りに励みボーンチャイナの生産に着手します。磁器に 50 パーセントの石灰化した骨灰を加え今までより一層強くて半透明の白色の「ボーン チャイナ」を作りました。
それによりさまざまな彩色や金彩、デザインが施されるようになりました。
骨灰が50%以上含まれるものをファインボーンチャイナ(※1)とよび、ボーンチャイナの中でもそれらは最高級品とみなされています。
そして、1861年に新工場をポートランド・ワークスに設立します。その工場のデザインは、彼がおこなったと言われています。
また、ヴィクトリア女王から食器の注文を受け、エインズリーは王室の紋章をメーカーのマークに利用することができまるようになり、英国代表の食器ブランドとしてのゆるぎない評価を得ました。
エインズレイはイギリス王室のお気に入りのメーカーとして王室行事のお祝いごとにおいては、数々の作品を製作しています。
たとえば、ヴィクトリア女王御在位60年記念(ダイヤモンドジュビリー)の女王の肖像画が描かれたプレートとカップ&ソーサー、チューリップシェイプのアール・デコ様式のティーセットをメアリー王妃にも提供しています。エリザベス 2世とダイアナ妃は結婚祝いに エインズレイの陶器を選びました。
2011年ウィリアム王子とケイト・ミドルトンの結婚、2012年女王のダイヤモンドジュビリーの記念品などが制作されました。
エインズレイは、イギリス王室御用達食器ブランドとしての名声を上げていきますがその後は近代化のあおりを受け経営を見直しを迫られていき現在ではストークオントレントの工場閉鎖後は中国で生産を行っています。
■エインズレイの変遷
1775年 創業
1970年、エインズリーはウォーターフォード・グラスに買収され、ウォーターフォード・グラスは社名をエインズリー・チャイナ・リミテッド(Aynsley China Ltd)に変更
1997年 アイルランド、ベルリーク・ポッタリー・グループ(Belleek Pottery)が所有、引継ぎ
2014年 ポートランド工場での製造は終了
2014年工場が閉鎖されたのち現在海外を拠点に生産されているため、
当時英国で作られたエインズレイのボーンチャイナは、ヴィンテージ、アンティークのお品として今では大変貴重で価値あるお品となります。
当店では、目の肥えたコレクターやカジュアルな愛好家の皆様にも満足いただける、Anysley 英国陶磁器の優れたコレクションを厳選し取り揃えております。
イギリスで作られたエインズレイの英国の陶器 アンティーク・ヴィンテージのカップ&ソーサー 、ティーセット他はこちらからご覧ください。
※1 エインズレイの代名詞「ファインボーンチャイナ」とは?
エインズレイの特徴は何といってもファインボーンチャイナづくり。
ボーンチャイナとは牛の骨灰(ボーンアッシュ)を使って作られた磁器のことを指しますが、白い磁器を作るのに欠かせないカオリンと呼ばれる粘土が手に入らなかったイギリスでは、カオリンの代わりに牛の骨灰が使用されるようになります。
ボーンチャイナは、英国を代表する陶磁器メーカー・スポードの創立者ジョサイヤ・スポードが改良を重ねて完成させました。間もなくスポード以外にも、ミントン、コールポート、ロイヤルクラウンダービー、ロイヤルドルトン、ウェッジウッド、ウスターといったイギリスの主要な食器ブランドがボーンチャイの製造を行うようになります。
ただし、エインズレイが作るボーンチャイナは、ほかと一線を画していました。日本では骨灰を30%以上含むものをボーンチャイナと呼びますが、骨灰を50%以上含むものをファイン・ボーンチャイナといい、ボーンチャイナの中でも最高級品とみなされています。
エインズレイのファインボーンチャイナは象牙色をした柔らかな質感で透光性が高く、その美しさゆえに昔もいまも多くの人々を惹きつけてやみません。
その他よみもの ■ エインズレイを支えたデザイナーたち
エインズレイには優れたデザイナーが集まりました。
アンティークファンに人気が高いエインズレイですが、同じ手描きの作品でもデザイナーによってその価値は大きく異なります。
エインズレイのデザイナーの中でも、1938年から1969年にかけて活躍したドリス・ジョーンズ、1935年から1975年まで活躍したナンシー・ブラント、そして1937年から1974年まで活躍したジョセフ・A・ベイリーらがとくに有名です。
ナンシー・ブラント
フルーツとベリーのデザインを得意とする。
ドリス・ジョーンズとの共作も多かったといわれています。
ジョセフ・A・ベイリー
花を絵描く作品を得意とするが風景画の作品も評価を得ている。
キャベツローズと呼ばれる大きなピンク色のバラのデザインで有名。
エインズレイは間違いなくイギリスのテーブルウェア業界で最も影響力のあるブランドの 1 つです。
エインズレイのデザインには、華やかな雰囲気の「ステッチコール」、伊万里焼をイメージしエキゾチックなイメージの「ペンブロック」、イギリスの庭園をイメージし可憐な花々が描かれた「イングリッシュガーデン」などがあります。
エインズレイのコレクションをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。