ノリタケの歴史に輝くオールドノリタケ
世界的に陶器のブランドで有名なノリタケ。
今年2024年創立120周年を迎えます。
現在のノリタケ株式会社(以下ノリタケ)、ノリタケの名前の由来は地名の愛知県名古屋市の則武(のりたけ)からくるものです。
明治治37年(1904年)に輸出用にディナーウェア(洋食器)を国内製造することを決めノリタケの前身となる日本陶器合名会社を創立しました。
10年後の大正3年(1914年)にようやく長年の努力の結果として日本で初めてのディナーセットを完成することになります。オールドノリタケの作品は、そこへ至るまでの長い歴史の中で誕生し現存する当時の作品からは貴重な職人技を見ることができます。
ノリタケの森にて撮影
ノリタケの陶磁器の歴史は、明治9(1876)年、東京銀座に森村市左衛門が「森村組」を創業したことにさかのぼります。海外貿易を通してアメリカをはじめ、英国などへ高品質の陶磁器を国内で輸出用に生産し海外で高い評価を得てきました。
海外貿易をはじめるにあたり森村市左衛門とある人物の出会いがありました。
幕末のころ、日本の金が海外に大量に流出することに不安や危機感を覚えた市左衛門は、知人から紹介された福沢諭吉の言葉が動機となり海外貿易への道が開きました。
その言葉とは、「流出した金を取り戻すためには海外貿易以外に方法はない」というものでした。
ノリタケの森ミュージアムにて撮影
森村市左衛門は、ニューヨークに弟の森村豊(とよ)を送り、のちの「モリムラブラザーズ」を立ち上げます。当時まだ東洋人に対して厳しい時代であり生活環境も苦しい中、少しずつ商売を伸ばしていきました。当初は日本からの骨董品、陶器のほかうちわ、ちょうちんなどの雑貨品を販売しました。
中でも陶磁器の売れ行きが良いことから日本から陶器を作り販売するようになります。好評だったのは陶器の花瓶、壺、皿など装飾品で、それらは生地を瀬戸などで作らせ国内から集結した技術の高い職人たちにより画付けされました。
日本の伝統的な美的センス、時代の少し先を見据えながら西洋の感性、デザイン性を取り入れつつ高い技術力を合わせながら盛り上げ、金盛り、エッチング、エナメル、ビーディング、ラスター彩、モールド、タピストリー、ウェッジウッド風など多数の作品を海外へ輸出し多くの人々を魅了してきました。
その中で大切に保管されてきたものが現存し今では再現できない技術、多くの時間や手間をかけた素晴らしい陶磁器製品を見ることができます。それらの作品はディナーウェアとは別にファンシーウェアとよばれていました。
モリムラ・ブラザーズは、1941年に閉鎖される間までアメリカでの販売拠点となり陶磁器生産においてとても重要な仕事を担っていました。閉鎖に至る理由には、1939年、第二次世界大戦の勃発などが影響しました。
オールドノリタケの価値
オールドノリタケの作品は、ハンドペイント、豪華な金彩、品質の高さ、デザイン性の高さから100年以上たつアンティークの作品として世界中の骨董収集家からその価値を認められています。
また、手描きの作品にアーティスト(絵付師)のサインが入っているものは特に貴重な品として扱われています。
中には状態の良いものもありますが、やはり100年以上たっていることからよほど保管状態の良いものでない限りアンティーク特有の経年のスレ(摩耗)、はがれ、ニュウ、欠け、ヒビなどがあるものが少なくありません。
持ち手(ハンドル)の摩耗など。しかしながら高品質であることに対する価値はかわりません。
オールドノリタケの刻印について
バックスタンプ(刻印)にNoritakeの商標がつくようになったのは明治41年(1908年)ごろから。
それまでの製品の刻印には国内7か所の森村組の専属画付(えつけ)工場の窯元名が付され、日本陶器が明治37年(1904年)に創立されるまでの間はメープルリーフ(森村組使用)のバックスタンプが使われています。
しかし専属でない画付工場も複数あり刻印のないものもあるため、森村組が輸出したものかどうかはデザインの原画となる画帖や技法、製品の完成度などから照合することで確認する場合もあります。
まとめ
森村組と日本陶器(現・株式会社ノリタケカンパニーリミテド)が、明治中期から第二次世界大戦期にかけて製造し販売した陶磁器を「オールドノリタケ」と呼びます。
当時の欧米の顧客や時代、文化のニーズの情報を陶磁器に取り入れ、新しいデザインを生み出し消費者に受け入れられていきました。そしてアメリカの収集家たちによってアンティーク価値が見いだされる1970年代になると、これらの陶磁器は「オールドノリタケ」と呼ばれるようになりました。
オールドノリタケの作品は、繊細で美しく人のあたたかみが感じられ広く愛されていることで知られています。
様々な熟練職人による技法が使われ日本の伝統をベースに西洋の文化や技術と融合させて新しい魅力を生み出し世界中で高い評価を受けています。
オールドノリタケの作品をご覧になりたい方は
こちらからどうぞ。